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東南アジアの半導体産業、次なる主戦場へ

―グローバルサプライチェーンを支える新拠点の実像とは?―
世界の半導体産業はいま、大きな転換点を迎えている。米中対立による地政学リスクの高まり、生成AIの普及、そしてデジタル経済やEV市場の急成長といった要因を背景に、グローバルなサプライチェーンの再編が進む中、東南アジアが新たな戦略拠点として注目を集めている。
本記事では、経済情報リサーチプラットフォームスピーダASEANの特設ページ「ASEANインサイトライブラリ」に掲載されているレポート「東南アジアの役割が拡大する半導体産業 (Southeast Asia’s Rising Role in Semiconductors)」の内容をもとに、ASEAN諸国が半導体産業の中でいかに存在感を高めているのかを3つの視点から紹介する。
1|バリューチェーン上での東南アジアの位置づけ
半導体産業は大きく3つの工程で構成される:
- 上流:デザイン・開発
- 中流:製造(前工程)
- 下流:組み立て・テスト・パッケージング(後工程)
このうち、東南アジアは特に後工程(ATP:Assembly, Test, Packaging)での存在感を急速に高めている。マレーシアやベトナムを中心に、製造キャパシティが集約されている状況だ。
- 2022年時点で、世界の後工程キャパシティの約17%が東南アジアに集中
- 2032年には約24%に拡大と予測
- マレーシアは現在7%、将来的には9%のシェアが見込まれる
なお、シンガポールは上流から下流まで一貫した体制を整えている一方で、他国は主に後工程に特化し、グローバルな分業体制の一翼を担っている。
2|成長を支える需要要因と地域的優位性
東南アジアの成長を後押ししているのは、以下のようなエンドマーケットの拡大である:
- デジタル経済(ECやFintech)の急成長
- データセンター需要の拡大
- EVを含む自動車産業の再構築
- 電子機器・電子機械の製造基盤の整備
さらに、中国・日本・韓国・台湾といった主要市場への近接性や、マラッカ海峡を中心とした物流アクセスの良さも、東南アジアを製造拠点として際立たせる要因となっている。
3|人材育成と各国政府による戦略的支援
半導体産業では高度な熟練労働力が求められるが、世界的に人材不足が深刻化している。100万人以上の労働力が不足すると見込まれる中、東南アジアは22万人規模の人材供給を担う存在として期待されている。
各国政府もこの状況を見据え、積極的に育成戦略を打ち出している。

〈マレーシアの国家半導体戦略(2024年5月発表)〉
フェーズ1:海外投資を誘致し、上流(設計・先端パッケージング)領域への進出を図る
フェーズ2:国内企業・人材の育成とインフラ整備
フェーズ3:ハイエンド製造分野におけるサプライチェーンの中核的存在を目指す
英国Arm社との提携など、技術力を持つ海外企業との協業も進展しており、国家戦略と民間連携の両輪で競争力強化を進める動きが活発化している。ベトナムなども同様に、フェーズ制の国家戦略を策定中だ。
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レポートでは、以下のような動画や本記事では触れていない注目トピックにも詳しく言及しています:
- 米中対立とサプライチェーンへの影響
- インドの台頭と東南アジアとの連携可能性
- 多国籍企業・地場企業の進出動向
- 東南アジアへの海外投資の最新トレンド
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