経営者インタビュー
経営者に聞く「日本工営ビジネスパートナーズ株式会社 シンガポール事務所 鵜澤邦泰所長」トップインタビュー
ASEAN経営者インタビュー
「経営者に聞く」 インタビューシリーズ
スピーダASEANでは、ASEAN市場で挑戦している皆さまを、経済情報とコミュニティ作りを通してご支援しています。
「経営者に聞く」インタビューシリーズでは、ASEAN地域で事業展開する日系企業の代表者の方々に、ご自身の経営哲学や信念、海外事業経営の醍醐味(挑戦の難しさと面白さ)をお伺いし、ご本人と会社の魅力を読者の方々にお届けする企画です。
今回は、スピーダASEAN CEOの内藤靖統とマーケティングの武藤が、日本工営ビジネスパートナーズ株式会社 シンガポール事務所 所長の鵜澤 邦泰 氏にお話しを伺ってきました。
日本工営およびシンガポール拠点の役割について
武藤:シンガポールでの事業概要および位置づけについて教えてください。
鵜澤:当社は去年組織を再編して、ID&Eホールディングスという名で東証プライムに上場しています。日本工営株式会社が1946年に設立されてから、コンサルティング事業を主軸としてグローバル展開してきましたが、ここ10年でかなり事業の多角化が進み、現在はコンサルティングだけでなく、都市空間事業として建築分野へも参入しています。
元々コンサルティング事業は、水資源や電力、運輸交通分野、等、社会インフラに関わる土木コンサルティングがメインでしたが、M&Aも活用しながら建築設計のケイパビリティを高めてきました。
日本工営の創業者が水力発電のエンジニアだったこともあり、エネルギー事業に関しては歴史が深く、役割も様々です。コンサルティングサービスだけでなく、福島の工場で水力発電所・変電所向けのタービンや制御システムを開発・製造、再生可能エネルギーのEPC事業も実施しています。更に、電力取引市場の自由化や再生可能エネルギーの導入拡大が世界的に進む中で、系統用大型蓄電池事業にも早くから参入し、欧州や日本では事業者の立場で案件開発、オペレーションをしています。
事業の多様化に応じて、元々日本工営の下にあった建築部隊やエネルギー部隊を分社化し、より各社の強みとスピード感を持って、お客さまにサービスを提供する体制を導入しました。
この「コンサルティング事業」「都市空間事業」と「エネルギー事業」の三つの柱で、ID&Eホールディングス傘下の各事業会社が「自律と連携」を合言葉にシナジー創出を追求し、お客様に寄り添いながら、各地域の課題解決を実現していきます。
シンガポール拠点=各事業ドメインを横串で刺す事業開発を担う
鵜澤:その体制化の中でシンガポール事務所は、グループ会社間の横軸の機能を担う日本工営ビジネスパートナーズという新しい会社の唯一の海外出先事務所として事業を行っています。具体的には事業ごとに分社化した各会社の「総合コンサル」という強みを横で繋げるための役割と、彼らの経営管理、事業開発やアドミニストレーションのサポートを集約し、提供する役割を担っています。
私もシンガポールに来て5年以上経ちますが、 イノベーションハブや、研究開発の機能を持つグローバル企業が事業をしやすいシステムを構築している点が国として進んでいて、改めてシンガポールの凄みを感じました。我々はそこをうまく活用しながら、グローバルスケールの「センターオブエクセレンス」という役割を担っていくというのが今の戦略です。
グローバルな目線で技術開発や競争力を強めていきたいですし、多彩な人材で構成されたチームで、質の高いアイディアとサービスを提供していきたいと思っています。我々の活動そのものがグループ会社にきちんとサービスとして提供できるように、イノベーションハブとして発信していきたいと思っています。
武藤:シンガポールオフィスのメンバー構成と、主な業務を教えてください。
鵜澤:現在は関係会社含めて20人弱で、日本人駐在員は3名です。その他はシンガポール、マレーシア、中国、インド、インドネシア、イギリスと、7つの国籍が交わる多国籍なオフィスで、今後さらに多様性を高めていけたらと考えています。
シンガポール事務所としての主な業務は新規事業・技術開発やパートナリング、これらの活動を通じたグループ会社の人財育成支援、等です。中には各事業会社からの出向者もいて、例えば、日本工営本社のコンサル業をしているメンバーがシンガポールをベースに従来のコンサルサービスを提供する一方で、イノベーションや新しいパートナリングに係る取組みをしています。
内藤:各国からいらしてる皆さまは、様々な国を回っていらっしゃるのですか。
鵜澤:日本人に関しては、新卒や中途採用のメンバーが本社からシンガポールに駐在している形で、他のインターナショナルスタッフは現地採用しています。