Skip to content

Trend Reports

インドカントリーレポート|2024 Q4 :成長動向・政策変化・市場トレンド

サマリー

インドの2024年第4四半期成長率は6.2%に減速──産業の足踏みが影響も、消費拡大・デジタル革新・改革政策が下支え

ASEAN各国の「今」を捉えるカントリーレポート

スピーダでは、ASEAN各国のマクロ環境を把握できるカントリーレポートを四半期ごとに発行しています。レポートは、政治(Political)、経済(Economic)、社会(Social)、技術(Technological)、法律(Legal)、環境(Environmental)という6つの要素で構成されるPESTLEフレームワークに基づき、外部環境の変化やリスク、事業機会を体系的に整理しています。

東南アジアへの進出を目指す日系企業が注目する業界や地域に焦点を当てた国ごとのレポートは、ASEAN5か国にインドを加えた計6か国を対象に、統一されたフォーマットで構成されているため、必要な情報を探しやすく、国別の比較や定期的なモニタリングにも適しています。

市場の理解を深め、新規事業の検討や市場参入の判断に

外部環境を理解することは、以下のように重要となります。

–  政治・経済の動向を確認し、”市場参入の可否を検討”
– 規制や制度、技術革新や法制度の変化を踏まえて、”ビジネス戦略を策定”
– 外資・環境規制などの強化を見据え、”リスクへの備えを整備”

特に東南アジア地域への進出を検討している日系企業にとっては、現地理解や意思決定に向けて、情報を定期的にアップデートすることが不可欠です。

今回は、2023年以降、日系企業からの注目が高まっているインドにフォーカスし、2024年第4四半期の最新市場動向をレポートから抜粋してご紹介します。


 

本記事は、英語で作成されたレポートを自動翻訳した日本語版です。翻訳の過程で一部の表現やニュアンスが原文と異なる場合がありますので、ご了承ください。オリジナルの記事は、英語版(India Country Report: Growth, Policy, and Market Trends)をご参照ください。

インドカントリーレポート|2024 Q4

インド経済、2024年第4四半期は6.2%成長──インフレ緩和も産業の低迷が足かせに

2024年第4四半期のインド経済は、前年同期比6.2%の成長を記録した。これはインド準備銀行(RBI)が掲げていた7.4%の成長目標を下回る結果であり、2023年第4四半期の9.5%と比べても明らかな減速となった。ただし、第3四半期の5.6%からはやや持ち直しており、成長基調が維持されていることも示唆されている。

GDP 2024年第1四半期〜2025年第4四半期
第4四半期のGDP成長は改善したが、依然として7%目標を下回る水準にとどまる

今回の成長減速の背景には、製造業を中心とした産業部門の伸び悩みがある。一方で、サービス業は堅調に推移し、農業分野でも緩やかな回復が見られたが、全体の成長を牽引するには至らなかった。名目GDPは84.7兆インドルピー(約9,873億米ドル)に達し、インド経済の規模は着実に拡大している。
特に以下の3つの要素が成長の主な推進力となった:

  • 民間消費:前年比+6.9%
  • 政府支出:前年比+8.3%
  • 輸出:+10.4%(一方でルピー安の影響で輸入は減少)

インド準備銀行(RBI)は、2025年2月に政策金利(レポ金利)を25ベーシスポイント引き下げた。これは2023年初頭以来の利下げであり、経済成長の後押しを意図した金融緩和策として注目されている。
この背景には、インフレ率の鈍化がある。2024年10月に6.2%を記録していた小売インフレ率は、同年12月には5.2%まで下がり、2025年第1四半期には平均4.4%に落ち着くとの見通しだ。
物価の安定と借入コストの低下は、特に消費関連産業や小売、サービス分野など、内需型セクターにとって追い風となる。今後の消費拡大が、成長の持続に寄与することが期待される。


政治的安定が回復、成長を後押しする経済改革も加速

2024年第4四半期のインドでは、政治的安定の回復と経済成長を志向する政策パッケージが同時に進展した。国家の統治体制と経済の強靭性を強化する動きが顕著となっている。

特に注目されたのが、ジャンムー・カシミール州での歴史的な州議会選挙の実施である。2019年に憲法第370条が撤廃されて以降、同州では長らく大統領統治が続いていたが、今回の選挙を通じて地方自治が再び機能し始めた。投票は3段階で行われ、投票率は63.9%を記録。国民会議派と国民会議党の連合が42議席を獲得し、オマール・アブドラ氏のリーダー就任が見込まれている。
この政治的転換は、鉱物資源や太陽エネルギーに恵まれた同地域の平和と経済統合を後押しすると期待されており、インド全体の安定と成長戦略において重要な意味を持つ。

同時に発表された2025~2026年度のインド連邦予算では、国内需要の喚起と起業環境の整備に向けた複数の施策が打ち出された。
主な内容は以下の通り:

  • 個人所得税の非課税枠を70万ルピーから120万ルピーに引き上げ、中間層の可処分所得を増加
  • スタートアップ支援策として、1兆インドルピー規模の「ファンド・オブ・ファンズ」を創設し、長期資金へのアクセスを拡大
  • 中小企業(MSME)向けの信用保証枠を2倍に拡充し、資本調達を容易に
  • 研究開発(R&D)への税制優遇措置を強化し、India AIミッションへの資金投入を拡大

これらの政策は、スタートアップや中小企業を中心とするビジネス活性化を促進し、民間投資や消費を後押しする狙いがある。
インド政府は、政治の安定と制度改革をセットで進めることで、投資家からの信頼を維持し、マクロ経済の成長路線をより持続可能なものへと導こうとしている。


消費とデジタル化が進展、インド社会に新たな変化

インドの人口動態が社会変化の原動力となっている。2024年第4四半期時点で、インドの総人口は14億6,000万人に達し、20〜39歳の若年・中堅層が全体の3分の1以上を占める。これは、同国にとって長期的な経済成長を支える大きな強みであり、消費の増加や新たな労働力の供給源として注目されている。

一方で、雇用率はわずかに低下しており、労働市場には構造的な課題が残っている。とはいえ、ホワイトカラー職の採用は前年同期比で10%増加しており、特に石油・ガス、製薬、ITといった成長産業での採用意欲が高まっている。また、インドでは近年、女性の労働力参加率の改善と正規雇用の拡大が進んでおり、従来の労働構造に変化が見られている。

裁量的支出の増加と消費者行動の変化

世帯所得の約29%がファッションや電子機器といった非必需品(裁量的支出)に充てられており、祝祭シーズンに向けた消費意欲の高まりが確認された。特に、ファストファッションやサステナブルな祝祭スタイルへの関心が高く、若年層を中心とした新しいライフスタイル志向が購買行動に表れている。

一方で、所得の33%が債務返済、残りの所得が必需品に充てられているという現実も浮き彫りになった。

デジタル決済が急拡大、UPI取引が過去最高に

こうした消費行動の変化を支えるのが、デジタル決済インフラの普及である。インドのデジタル経済は力強い成長を続けており、2024年12月には統一決済インターフェース(UPI)による取引件数が167億件に達した。これは、前月比で8%の増加となる。

取引の増加は、P2M(個人から店舗への支払い)利用の拡大と、政府・金融機関による金融包摂(ファイナンシャル・インクルージョン)の取り組みが奏功した結果といえる。


技術革新が加速、インドのイノベーション戦略を強化

2024年第4四半期、インドのテクノロジー産業は大きな進展を遂げた。人工知能(AI)、クラウドインフラ、半導体製造といった分野への積極的な投資が進み、政府および大手企業によるデジタル変革(DX)の推進がさらに強まっている。

たとえば、IT大手インフォシスは、米LivePersonと連携して会話型AIを活用した顧客対応プラットフォームを導入。生成AIを企業活動に組み込む動きは他のインド企業にも広がっており、AIによる業務効率化・顧客体験の向上が進んでいる。

医療分野でも、デジタル技術の活用が加速している。インドの国立医療機関AIIMSWipro GEヘルスケアは、「AI Health Innovations Hub」の立ち上げを発表。循環器、腫瘍、神経といった専門領域におけるAI応用の研究と実装を目的とした戦略的パートナーシップである。ウィプロGEは今後5年間で約100万ドルを投資し、医療とテクノロジーの融合を後押しする。こうした取り組みは、ヘルステック(HealthTech)市場の成長と高度医療技術の国内展開を支える重要なステップとなっている。

さらに、インドの半導体戦略も新たな局面に入っている。タタ・エレクトロニクスは、台湾の半導体企業PSMCと提携し、総額9,150億インドルピーにのぼる製造拠点(ファブ)の建設を発表した。これは、エレクトロニクス産業における輸入依存を脱却し、国内生産を促進する大規模プロジェクトである。
政府もこれを強力に支援しており、生産連動型インセンティブ(PLI)制度や、ウッタル・プラデーシュ州などが進める半導体誘致政策が追い風となっている。


ESG関連資産の不振が続く中、インドは環境規制を強化

2024年第4四半期、インドのESG(環境・社会・ガバナンス)市場は厳しい局面を迎えた。世界経済の先行き不透明感が続く中、投資家はリスク回避姿勢を強めており、短期的なリターンの乏しさからESG関連資産が相対的に敬遠される状況となっている。

事実、NIFTYトータル・マーケット指数が7.5%下落したのに対し、NIFTY 100 ESG指数は8.6%の下落、NIFTY 100 ESGセクターリーダーズ指数は9.7%の下落と、ESG関連株のパフォーマンスはより大きな落ち込みを見せた。これは、長期的なサステナビリティ目標と短期的収益性とのギャップが意識され始めたことを示している。

一方で、インド政府は環境保全に向けた具体的な制度改革を前進させている:

  • 2025年4月より廃車のリサイクル・廃棄に関する新ルールを導入。環境への悪影響を最小限に抑え、適切で責任あるスクラップ処理を推進する。
  • 2025年7月から、すべてのプラスチック包装にバーコードまたはQRコードの表示を義務化。製品情報やリサイクル手順を明示することで、トレーサビリティ(追跡可能性)や生産者責任、サプライチェーンの透明性が大きく向上する。

これらの動きは、単なるガイドラインではなく、企業に対して明確なコンプライアンス対応を求める「実効性のあるESG基準」へのシフトを意味する。


法制度改革でスタートアップ支援と税制簡素化を推進

2024年第4四半期、インドの法制度および規制環境には、起業家精神を後押しし、外国企業の参入を促進し、ビジネスのコンプライアンスを簡素化するためのターゲット型の改革が加えられた。こうした流れの中で発表された2025〜2026年度の連邦予算では、特にスタートアップや中小企業(MSME)向けの事業環境改善施策が多数盛り込まれている。

中でも注目されたのは、スタートアップ向けに設けられた1兆インドルピー規模のファンド・オブ・ファンズである。このファンドは、成長初期の企業にとって最大の課題となる長期資本へのアクセスを支援し、資金調達面での制約を緩和することを目的としている。

あわせて、中小企業向けの信用保証スキームも1兆ルピーに拡充され、金融機関からの資金調達を容易にする環境が整えられた。また、研究開発(R&D)に関しては、税制上の優遇措置が強化されており、技術革新やAI関連プロジェクトへの民間投資がさらに加速する見通しとなっている。


短期的な逆風の中でも、インド経済の中期的成長は堅調

2024年第4四半期のインド経済は、GDP成長の鈍化とインフレの安定化、政策金利の引き下げ、そして政府の積極的な財政対応が同時に進行するという、入り混じった経済シグナルの中で幕を閉じた。

インド準備銀行(RBI)は、2024年度通年の実質GDP成長率を6.4%と予測しており、これは当初の見通しをわずかに下回るものの、世界的には依然として高水準の成長である。特に、金利低下による借入コストの改善と政府による財政支援は、2025年初頭にかけての産業回復と投資の活発化に寄与すると見られている。
加えて、政府が優先課題として掲げるインフラ整備、減税政策、デジタル化の推進は、民間消費の底支えとなり、半導体、人工知能(AI)、ヘルスケアといった成長産業への投資を呼び込むことが期待されている。

さらに、グローバル・ケイパビリティ・センター(GCC)の拡大やUPI(統一決済インターフェース)の普及、女性の労働参加率の改善といった構造的変化が、インドの中期的な経済成長を支える追い風となっている。
もっとも、雇用の地域・業種間での偏り、家計債務の増加、ESG関連資産のパフォーマンス低迷といった不安要素も依然として存在し、進展を妨げるリスクとなりうる。

それでも、継続的な規制改革と制度面での長期的な改善により、インドはより包摂的かつ持続可能な成長モデルの基盤を築きつつある。2025年に入り、インドは依然として世界経済を牽引する成長リーダーとしての立場を維持することができる、強固なポジションにあるといえる。


 ASEANビジネスインサイトを探る

GDPの動向、政策の変化、業界のパフォーマンス──
スピーダは、豊富なデータとアナリストによるレポートで戦略的な意思決定を支援します。

無料トライアルをお申し込みいただくと、ASEAN各国の国別レポート、業界分析、アジア企業データベースなどのサービスをご利用いただけます。
マクロ分析のレポートやASEANに関する独自情報をご覧になりたい方はぜひ一度スピーダの無料トライアルをお試しください。
👉 7日間無料トライアルはこちら

あなたにおすすめのコンテンツ