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データセンター:新たな拠点として急成長する東南アジア

サマリー
東南アジアでいま、データセンター市場がかつてない成長を遂げている――。eコマースやAIの台頭、各国のデジタル政策、そして進化する法制度が、地域全体にインフラ投資の波を呼び込んでいる。本記事では、マレーシアやインドネシアの台頭、シンガポールの動向、さらには日本企業との協業可能性まで、急成長市場の核心に迫る。
本記事は、英語で作成されたレポートを自動翻訳した日本語版です。翻訳の家庭で一部の表現やニュアンスが原文と異なる場合がありますので、ご了承ください。
正確な内容については英語版のレポートもご参照ください。
急拡大する東南アジアのデータセンター市場
東南アジア(SEA)は、デジタル化の深化とともに、世界的な投資先として存在感を高めている。その中で、データセンター市場は、業務効率の向上と市場での確固たるプレゼンスを求める企業にとって、重要な位置を占めている。
eコマースの成長から各国政府のデジタル化の取り組みに至るまで、信頼性が高く、地域に根ざしたデータ処理へのニーズが高まっており、地域全体でデータセンター(DC)への大規模な投資が進んでいる。
東南アジアのデータセンター市場が急拡大する理由
| シンガポールが市場拡大を牽引
ここ数年で、東南アジアにおけるデータセンター投資は急増しており、2023年だけでその額は推定100億米ドルに達し、2029年にかけては、年平均10%の成長率で投資が拡大すると見込まれている。
現在の市場容量のうち、約59%をシンガポールが占めているが、マレーシア、インドネシア、タイ、フィリピン、ベトナムといった他の国々も、急ピッチで容量を拡大している。
これにより、新規参入企業、現地オペレーター、世界的プレイヤーがしのぎを削る競争環境が形成されており、地域内外で高まるデータ保存・処理ニーズに対応しようとしている。
| 市場成長を支える主な強み
欧州や北米のような成熟したデータセンター市場とは異なり、東南アジアにはいくつかの固有の利点がある:
まず、各国における設立・運用コストが比較的低いことが挙げられる。
次に、国際的な海底ケーブルネットワークの拡充により、接続性が大きく向上しており、データ処理負荷の高い業務にも対応しやすくなっている。
さらに、多くの東南アジア諸国が比較的中立的な地政学的立場を取っており、ホスティング拠点の多様化を図る西側諸国や中国企業にとって、魅力的な選択肢となっている。
東南アジアで拡大が進む主な需要要因
| データ主権およびローカリゼーションに関する法律の影響
東南アジアでデータセンター需要が高まっている最大の要因のひとつが、各国で強化されつつある「データ主権」関連の法制度である。これらの法律により、企業はデータを国境内で保存することが求められるようになってきている。
東南アジア各国、特にマレーシア、インドネシア、ベトナムでは、個人情報保護関連の法整備が進んでおり、企業に対して国内保存を明示的に義務づけたり、強く推奨したりする動きが加速している。
🇲🇾 マレーシア:現行の「個人情報保護法(PDPA)」に加え、2024年に予定されている法改正により、マレーシア国民のデータを扱う企業は、越境移転に関する特例に該当しない限り、サーバーを国内に設置する必要がある。この規制強化によって、現地のデータセンターインフラへの投資が促されている。
🇮🇩 インドネシア:2022 年 10 月、電子・非電子システムの両方を対象とする、初の包括的な個人情報保護法を制定。国境を越えたデータ転送に対して厳しい制限を課しており、情報漏えいに対して罰則も重いことで、多くの企業が国内データセンターを保有する動きにシフトしている。
🇻🇳 ベトナム:個人情報保護に関する法令案が、現在公開審査中で、2026 年までに施行される見通しである。これが実施されれば、他国同様に国境を越えたデータの取り扱いが制限されるため、国内施設への投資がさらに進むとみられる。
これらの規制は、消費者のプライバシー保護や国家安全保障を目的としたものであり、グローバル企業・現地企業問わず、地域内でのデータセンター活用を促す要因となっている。今後、より多くの国がデータ保存に関する規制を明文化・強化していくことで、既存施設の拡張や新規建設への需要は一層高まると予想される。特に、法的負担が大きい経済中心都市では、その傾向が顕著になるだろう。
| テクノロジーと政府主導の取り組みが市場成長を後押し
eコマースやフィンテックを中心としたデジタル経済の急成長も、データセンター需要を押し上げる大きな要因のひとつとなっている。
東南アジアのeコマース市場は、2024年から2030年にかけて年平均約20%の成長が見込まれており、決済サービスやオンライン融資といった分野におけるフィンテックも、2024年〜2032年の期間で年平均12%ほどの成長が予測されている。
こうした成長の背景には、インターネットの普及、モバイル端末の利用拡大、そして各国政府によるデジタル化の推進がある。「スマート・ネーション」や「タイランド4.0」といった国家戦略がその代表例だ。
- シンガポールは「MyDigital Blueprint」や、「MyInfo」などのデジタル行政アプリによって、膨大な量の個人情報や取引データをオンライン化している。
- マレーシアの「MyDigital」も、行政手続きの効率化やデジタル技術の導入を加速している。
- インドネシアの「Making Indonesia 4.0」は、スマートシティや高度な通信基盤の整備を進めている。
これらの取り組みによって、国民・行政・企業から膨大なデータが日々生み出されており、それを迅速に処理できる強力なインフラが必要とされている。
さらに、東南アジア各国で進む5Gの導入により、IoTや没入型アプリケーションといった大容量データを扱う新たな利用ニーズが生まれており、データセンター容量に対する需要は今後さらに高まる見通しだ。
| エッジデータセンターと AI 処理が生む新たな需要
東南アジアで新たにデータセンター需要を押し上げている要因として、「エッジコンピューティング」と「人工知能(AI)による処理負荷」の2つのトレンドが挙げられる。
エッジデータセンター(エッジDC)は、極めて低い遅延が求められる用途に対応するために必要とされるもので、現地でのデータ処理を可能にする。
具体的には、自動運転、スマートファクトリー、IoT、医療や物流におけるリアルタイム解析などが代表的な活用例となる。
一方、AIによる処理、とりわけディープラーニングや高性能計算(HPC)においては、1ラックあたり20〜50キロワットを超える高密度の電力供給が必要となるケースも多く、高度な冷却システムが求められる。
たとえばマレーシアは、高密度なAI向けデータセンターの集積地として注目されている。
同国には、半導体パッケージングの強固なインフラが整っていることに加え、広い土地と豊富な電力資源が揃っており、こうした次世代データ処理に適した環境が整いつつある。