Trend Reports
東南アジアのデータセンター事情

サマリー
東南アジアのデータセンター市場が急拡大。インフラ整備や規制の変化を背景に、シンガポール・マレーシア・インドネシアが新たな成長拠点として注目を集めています。
― 加速するデジタル経済を支える成長インフラとは ―
東南アジア地域におけるデータセンター市場は、ECやフィンテック、AI・5Gの進展、そして各国政府のデジタル政策によって急成長している。
本記事では、経済情報リサーチプラットフォームスピーダASEANの特設ページ「ASEANインサイトライブラリ」に掲載されているレポート「東南アジアにおけるデータセンターの隆盛 (Capacity Unleashed: Southeast Asia’s Data Centre Boom)」の内容をもとに、東南アジアのデータセンター市場全体像と主要な成長要因を4つのポイントから紹介する。
1|データセンター市場の概観:施設数と供給量で異なる国別ポジション
まず東南アジアにおけるデータセンターの「供給量」と「施設数」には違いがある。2022年時点で、世界の後工程キャパシティの約17%が東南アジアに集中
- 供給容量(MW)ではシンガポールが圧倒的。1施設あたりのキャパシティが非常に高い。
- 施設数ではインドネシアが最大。続いてマレーシア、シンガポールと続く。
今後、東南アジア全体で年平均10%の成長が見込まれており、キャパシティ・施設数の両面で市場拡大が続く見通しだ。
2|市場の成長ドライバー:制度と技術、生活の変化
市場拡大の背景には、次のような要因が挙げられる。
- データローカリゼーション規制
各国の法制度により、特定のデータは自国内に保管される必要があり、それが国内施設への需要を生み出している。 - 5G・AIの浸透
より高速かつリアルタイムな処理が求められる中で、高性能データセンター(特にエッジDC)が必要とされている。 - デジタル経済の拡大
EC市場は今後5年間で3倍規模に拡大すると見込まれている。 - フィンテック利用の普及
各国で決済・投資・融資系のアプリ利用が急増しており、リアルタイム処理のためのインフラ強化が求められている。
3|成長を可能にする要因:整備されたインフラ環境
東南アジアでデータセンターの成長を支える背景には、物理的インフラの整備がある。
- 海底ケーブルの敷設により、国際通信の高速・安定化が進んでいる。
- 電力供給が安定しており、データセンター運用の前提条件が整っている。
- 一部地域では水資源や冷却環境にも恵まれており、設備運用のコストや効率面でも優位性がある。
このような基盤的要因が、今後さらなる立地選定や投資判断の土台となっている。
4|今後の展望:東南アジア市場の可能性と地域連携
グローバルに見てもデータセンターは非常に有望な分野だが、東南アジアは特にこれからの成長の伸び代が大きい。
- 法制度による成長枠組みの形成に加え、域内需要の急増が市場をけん引。
- 東南アジア全体では35%の成長率が見込まれており、国ごとにも急成長が続く。
- 現状はシンガポールが最大キャパシティを有するが、今後5年でマレーシア・インドネシアも存在感を増す見込み。
これに伴い、リードする主要プレーヤーの顔ぶれも変わってくる可能性がある。
また、今後は東南アジア域内でのパートナーシップや連携も重要となる。
- 地理的に隣接するシンガポール・マレーシア・インドネシアが、連携することで相互補完的にキャパシティを拡充。
- 地域全体として、競争と協調が共存する構造が形成されつつある。
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本レポート「東南アジアにおけるデータセンターの隆盛」は、スピーダASEANの特設ページ「ASEANインサイトライブラリ」にて全文を公開しています。
レポートでは、以下のような動画や本記事では触れていない注目トピックにも詳しく言及しています:
- 各国におけるグリーンデータセンターの最新動向
- 東南アジアに進出する主要プレーヤーの戦略
- データセンター全体を俯瞰した需給・制度・競争環境の総括
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