経営者インタビュー
経営者に聞く「荏原製作所シンガポール久保田博通社長」 トップインタビュー
強いものが勝つのではない、勝ったものが強いのである
内藤:久保田社長が仕事をする上で大切にしている価値観や信念は何でしょうか?座右の銘もありましたら教えてください。
久保田:「強いものが勝つのではない、勝ったものが強いのである」ですね。
これは高校のラグビー時代から、ずっと大切にしている自分の信念であり指針です。どれだけ強いチームに対しても、負けるつもりはない、という気持ちで常に自分を鼓舞しています。
強いチームが他にもいるなかで、どういうマインドで相手に立ち向かっていくかが重要です。「相手は強いから、ダメかもしれないな」と思いながら挑んだら、絶対勝てないです。この強い気持ちを、ずっと仕事や商売においても当てはめています。
また逆に、自分が優位な立場にある場合でも安心は禁物という意味合いで、何事にも緊張感をもって取り掛かるように努めています。
鉄の加工メーカーにいた時、北米のT社に新規取引のアタックを仕掛けた時もそうです。もし自分が「ダメかもしれないな」と思いながら挑んだり、他人の「無理に決まってるやろ、やるだけ無駄や」という言葉に引きずられながら挑んでいたら、実現はしていないはずです。
そこにある可能性を信じて、可能性が少しでも開く転機や、可能性に繋がるチャンスを探ったり狙いながら戦略的に挑んだ先に、勝利の結果があると信じています。
ビジネスの面白いところは、信じて真正面から突進するだけではだめで、事業や経営の戦略以外にも、人と人とのご縁や、運気なんかも全て味方につけながら最終的に勝って結果を出す、というところだと思います。
内藤:この座右の銘を聞いて、前段のキャリアのお話がとてもしっくりきました。厳しい環境で高い目標を背負う状況においても結果を出し続ける裏には、この強い信念がご自身を支えていたのですね。
久保田:あと、工場の経営に携わっていた時は、こんな指針を掲げていました。
「3 ion + A」 (スリー・イオン・プラス・エー)
これは何かといいますと「Tension、 Passion、 Action + Amenity」の4つの要素をまとめて表現した標語です。結果を出す上で重要な要素だと思う「緊張感」「情熱」「行動力」の3つに加えて「居心地の良さ」というのもすごく大事にしています。
従業員にとって居心地の良い労働環境を作れるのは、上の人間しかいませんから。
今でもラグビー一筋38年
内藤:日々お忙しい中で、気分転換のために楽しまれているご趣味などがあれば教えてください。
久保田:高校で始めたラグビーを、50代になった今でも続けています。海外駐在で国を移動する度に、現地のラグビーチームを探し出して、社会人OBチームに入っていました。
2度に渡る北米駐在時も、ケンタッキー大学のOBチームやシャーロットラグビークラブに入ってプレイしていました。そこでの人脈が結果的にビジネスに繋がったりもしました。
荏原製作所へ入社当初にも、ラグビーで肋骨を3本折ってしまい、上の者からしたら「あいつなにやってんねん」と思われてるかと思います(笑)
それでも懲りずに、現在もなおシンガポールでラグビーは続けています。そういえば昔、T社グループに在籍時、同社の社長アテンドで世界一周の出張を自分がアレンジして同行するというミッションがあったのですが、その1週間前に左足を複雑骨折しまして。
行かないという選択肢はない、と決めて、骨折していることを公には隠して(勿論バレていますが)、気合で乗り切ったという事件がありました(笑)
少し脱線しましたが、ラグビーを通して、体力的なタフネスも、ビジネスで勝負する強いマインドも鍛えられてきたので、私の人生の根幹にある大事な趣味ですね。もちろん気分転換としても楽しんでやっています。
内藤:つねに新しいことにチャレンジを続けてきている力強さはラグビーから来ていらっしゃるんですね。実は知人がシンガポールでラグビーをやっていることもあって、Facebookグループの写真で久保田さんを見かけることもありました(笑)
本日は、とてもダイナミックで、映画のようなお話を伺うことが出来ました。ありがとうございました!
取材日:2023年4月27日
※本記事に記載の内容や登場人物の所属・肩書は、取材日時点での情報になります。