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経営者インタビュー

経営者に聞く 「日本航空 シンガポール支店 土橋健太郎支店長」 トップインタビュー

日本とシンガポールを結んで65年

川端:JALのシンガポール線は、2023年に就航65周年を迎えました。何か特別な動きはありました。

土橋:5月8日が65周年記念日でした。JALは日本とシンガポールを初めて結んだ航空会社です。65周年というと、シンガポールの建国より前から両国との間を飛んでいたことになります。この記念すべき節目の年を迎えることが出来ましたのも、これまでの長きに亘り、多くのお客さまにご利用頂き、ご支援頂いている賜物として、大変感謝いたしております。

その感謝の気持ちを、ささやかながらでもお示ししたい、そんな思いを込めて5月8日には、出発ゲートで私から65周年の記念日である旨のアナウンスをさせて頂きました。

また、ささやかな取り組みと致しまして航空券を購入頂いたお客さま向けに、記念の特別デザインを施したEZ Linkカード(※注:公共交通機関の乗車や少額決済などに利用できるカード)、日本行きの航空券などを抽選でプレゼントさせて頂くと共に、シンガポール=日本間の特別運賃の設定などを行いました。

私のシンガポール勤務開始の年が、就航60周年という別の大きな節目でありましたので感慨深いものがあります。ちなみに、就航当時は、プロペラ機で日本からは香港、バンコクを経由してシンガポールのパヤレバー空港(現在は軍民共用空港)に到着する、という便でした。

川端:65年という歴史の重みを感じますね。


photo by Kandle

エアライン一筋、ビジネスパーソンとして大切にしてきた価値観とは

内藤:提携のお仕事を経験されたとのことですが、どのように提携先を勝ち取るのでしょうか。

土橋:航空業界には、私たちが所属しているワンワールド、全日空などが所属しているスターアライアンス、日本の会社はありませんが大韓航空などが所属しているスカイチームという3大アライアンスがあります。

アライアンスによっては、所属航空会社と、他アライアンスの所属航空会社との提携を歓迎しないことがあります。

一方で、私どもの所属するワンワールドは所属する個社の個性を活かす為、アライアンス外の航空会社との提携についても極めて柔軟性があります。

 提携先のエアラインとは企業の価値観の一致が大切です。このとき、私たちはJALフィロソフィに基づく考え方で、顧客サービスをどのように向上させていくべきか、提携先のエアラインと協議をしていきます。また自社のメリットのみを追求しては、提携は長続きしません。利他の心に基づく発想で、顧客利便の向上を意識した提携パートナーとの中長期的な提携関係を目指したいと考えています。

内藤:JALフィロソフィに触れていただきました。どのように実践されていらっしゃいますか。また、特に好きな項目を教えて下さい。

土橋:JALフィロソフィは、判断に迷った時に立ち戻ると自ずと答えにたどり着くように私は思います。

特に好きな項目と聞かれてしまうと、悩みますね。どれも好きだからです。敢えて、選びますと「最高のバトンタッチ」でしょうか。お客さまをバトンに例えてしまっては失礼かもしれませんが、安全に出発地から目的地まで最高のサービスをもって渡航していただくには、私たち社員の間の「最高のバトンタッチ」が大切です。

チケットの予約、空港のチェックインカウンター、搭乗ゲート、客室、そして到着地の空港へとお客さまにご提供出来る「最高のサービス」でおつなぎしていく。これが「最高のバトンタッチ」です。

内藤:ビジネスパーソンとして大切にしてきた価値観としては、何がありますか。

土橋:まず、仲間との関係です。先ほど申し上げたアライアンスの仕事でも、素の自分、胸筋を開いた素直な関係を築くことを大切にしていました。ビジネスでは「計算」も必要ですが、真摯な対応をすることが何よりも重要なことではないでしょうか。

相手の話しを良く聞きながらも、自分の考えも押しつけずに、意見も明確に出していく。元気がでる前向きなコミュニケーションも大切です。こうした考え方は「JAL OODA(ジャルウーダ)」という自律的人材育成の考え方にも合致した価値です。

そして、悲観的に計画して楽観的に実行することも心がけています。スピード感を持ちつつも、実行の段階では様々な可能性を考えて行動していきます。

昨日よりは今日、今日よりは明日。その分、成長した自分にしないといけないと言うのも大切にしたい考え方ですので、仲間と共に日々の業務に邁進したいと思っています。

川端・内藤:本日は貴重なお話をいただき、大変ありがとうございました。

取材日:2023年10月6日
本記事に記載の内容や所属・肩書は、取材時点での情報になります。

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