経営者インタビュー
経営者に聞く 「JR東日本 東南アジア事業開発 大見山俊雄マネジング ダイレクター」 トップインタビュー
ASEAN経営者インタビュー
One & Co を運営されている皆様と
(写真右から3番目 / JR東日本 東南アジア事業開発 大見山マネジング ダイレクター、2番目 / ASEAN専門家 川端氏)
「経営者に聞く」インタビューシリーズ
SPEEDA ASEANでは、ASEAN市場で挑戦している皆様を、経済情報とコミュニティ作りを通してご支援しています。「経営者に聞く」インタビューシリーズでは、ASEAN地域で事業展開する日系企業の代表者の方々に、ご自身の経営哲学や信念、海外事業経営の醍醐味(挑戦の難しさと面白さ)をお伺いし、ご本人と会社の魅力を読者の方々にお届けする企画です。
今回は、ASEAN専門家の川端隆史氏とSPEEDA ASEANの伊野が、JR East Business Development SEA Pte. Ltd (JR東日本 東南アジア事業開発)の大見山俊雄マネジング ダイレクターにお話しを伺ってきました。
駅ナカ事業を海外に
川端:シンガポールでは、2022年7月にトムソン・イーストラインのウッドランズ駅に駅ナカモール「STELLER@TE2」をオープンしています。また、鉄道事業者のイメージからは想像しにくいのですが、2019年8月、コワーキングスペースのOne&Coを中心部タンジョン・パガーでオープンし、2023年は増床も実現しました。
JR東日本といえば、日本国内では鉄道事業者というイメージがあります。そして、近年は駅を活用した駅ナカ事業で存在感が大きくなっています。こうした国内での事業から、近年は海外展開を推進している背景を教えて下さい。
大見山:根本的な背景として日本の鉄道事業が置かれた状況があります。日本の鉄道収入は、少子高齢化の流れのなかで減少に向かうことは逃れられません。そうしますと、日本で鉄道以外の部分でお金を儲けていかなければなりません。駅ナカなどの事業はその一環でもあります。もう一つは、海外市場という選択肢です。国内で取り組んできた私どもの何が通用するだろう、という話になります。
では、私どもの収益源として信頼を置いている駅ナカ事業を、海外に持ってきたらどうなるのだろうか、という発想が生まれました。日本では駅でのお客様の嗜好や行動様式を十分に把握できています。この条件さえ揃っていれば、海外でもやれるはずだと考え、第1号をシンガポールで始めることになったのです。
ウッドランズ駅のSTELLA@TE2のオープニングイベントにて(提供元:JR東日本 東南アジア事業開発)
川端:駅は日々多くの人たちが利用しますので、動きを把握できるという点は頷けます。通常のショッピングモールは、近所の人の普段使いで毎日のようにちょっとだけ寄るという方がいれば、一方で、遠方からファミリーが車でレジャーとして遊びにくるというパターンもあり、多様です。
大見山:駅ナカは、駅を利用するお客様が朝や夕方に通勤や帰宅で利用し、どのような動きをしているかという動きを非常に把握しやすいのです。これで顧客接点をしっかりと作ることができます。駅は愚直にお客様の動きを把握するには理想的になのです。これにより駅ナカ事業は、様々な商業施設の形式の中でも、非常にパフォーマンスが良くなります。
駅ナカのもう一つの強みは、テナントの皆さんとのコミュニケーションが非常に良くできているということです。テナントから、お客様が日々どのような行動をされているかということが伝わってきます。例えば、「雨の日は、この商品がよく売れる」といったことです。こうした情報を踏まえて、「じゃあ、他にもこういうことやりましょう」というアイディアが出ます。