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経営者インタビュー

経営者に聞く「日本工営ビジネスパートナーズ株式会社 シンガポール事務所 鵜澤邦泰所長」トップインタビュー

多様性から成る目標達成への道筋

武藤:鵜澤様がお仕事をする上で大切にされている価値観や信念などございますか。

鵜澤:かなり難しいのですが、多様で異なる価値観を理解し、個の力を最大化させて、同じ目標を達成することを意識しています。

特に日本の会社は日本人による日本人のための日本中心の活動が多いと思います。日本人をグローバル化させるために入念に設計されたプログラムへの参加やテキストを読み込むより、海外の社会に投げ込まれたほうが生き方を学ぶ意味では一番効果的だと思っています。偏った考えですが、私がそうだったので、体験談として。

情報の共有が日本語で日本人ベースになってしまっていては、スキルの高いインターナショナルメンバーまで情報が届かない。そのような環境の中で彼らに新たな提案やパフォーマンスの発揮を要求するのはフェアではないと思うので、できるだけ異なる価値感を共有・理解し、質の高いコミュニケーションをとって、一緒に目標を達成することが大事だと思います。

うちの事務所は小さい所帯なので、自ら発信していかないと埋もれてしまうから、基本的に何か議論が始まるときは誰かの発言を待つのではなく、自分からホワイトボードに書いて会話をリードすることを心がけるようメンバーには伝えています。今は優秀な人が事務所の中にいるので、その人たちのパフォーマンスを高められるように、環境作りは意識しています。

シンガポールオフィスのワーキングスタイル

内藤:結果を出していれば割と自由に働けるスタイルでしょうか。

鵜澤:そうですね。特に今はプロフェッショナル採用をしているので、そこはメンバーをリスペクトして、アウトプットベースで良いと思っているので、あまり細かくプロセス管理はしていません。ただ、毎週彼らのやるべきことと、今週のアチーブメントを口頭で話したりしています。

内藤:フィードバックはチェックポイントを入れて週次でされているのですか?

鵜澤:与えられているタスクにもよりますが、今はルーティーンで回っているプロジェクトはないので、オープンイノベーションのプログラムに我々で企画したアプローチを提案、採択された中で新技術やビジネスモデルの導入に取り組んでいます。研究開発的な活動も多いので、自分がアクションを起こさないと何もしない1週間で終わってしまうのですよ。だから彼らには毎週ちゃんとアウトプットが出るもの、社内外にインパクトを与えられるテーマを示して、その都度フィードバックをしてもらっています。

内藤:みなさんそれぞれのミッションをお持ちのようですね。各々で年間目標を立ててその進捗を見ているのでしょうか。

鵜澤:そうですね。それぞれに違うKPIを持たせています。個人の興味や目標を尊重しつつ、会社としての目標や事務所の運営方針があるのでその大きな枠組みの中での個別の目標策定にはしています。

内藤:ビジネスインパクトの評価はどのようにされていますか。

鵜澤:もちろん売り上げいくらというのが一番わかりやすいのですが、この事務所自体は横串の機能なのでPLを持っていないのです。売り上げに貢献する活動があったとしても、その売り上げは他の事業会社に付くので、うちの事務所ではなかなか測りにくく、定量的な部分は、オープンイノベーションチャレンジで入賞する等、新しい技術・ビジネスモデルを社外から評価される機会を得たとかが対象になります。シンガポールのオペレーションコストはどうしても他国に比べて高くなってしまうので、いかにグローバルスケールで機会創出に繋がるかで評価しています。

内藤:定性評価の多いイノベーション系は必ずしも数字が出て来るわけでは無いので、難しそうなところですが、優秀な人をリテインできているところに何か秘密があるのでしょうか。

鵜澤:そこは本社側に丁寧に説明しています。コストが年々上がる中で、シンガポールの拠点がどれだけのインパクトを与えていて、グローバルスケールで必要な存在かを具体的な事例を挙げて説明していますし、社内外に積極的に発信してサポーターを増やしています。ここはシンガポールで学んだことが多く、シンガポール政府や企業の発信の仕方、スタートアップのピッチや資金調達、協力関係の築き方が非常に参考になっています。会社も個人も、しっかりとバリューを示して、それに応じてリソースを配分することが重要です。

社内コミュニケーションで関係を構築

内藤:社内コミュニケーションは鵜澤さんも仕事をする上でとても大事にされていると思いますが、どのようなコミュニケーションをされていますか。他の東南アジアで働く日本人のマネジメントの皆さんも、予算取りやリソース集めにご苦労されていたりするので参考に教えてください。

鵜澤:結構そこは力技に近いです。うちも事業会社化しているので、それぞれに事業開発とか研究開発の部隊がいて、注力分野やアクションプランがあります。そのチームと積極的にコミュニケーションを取り、関心や悩みを聞くようにしています。シンガポールにいると日本では得られない情報やネットワークにアクセスしやすいですし、スピーダのサービスも活用することで、本社に新しい気付きを与えられますので、そこにバリューを感じてもらえれば、さらに踏み込んだ取り組みを提案、連携に繋げていきます。

例えば、デジタルな部分に日本は弱いので、我々のデジタルに強いメンバーがプロトタイプみたいなものを作って社内コンサルテーションをしています。そうやって社内で営業をかけて関係性を築いていますね。

入社当初から変わらないNO残業主義

武藤:日々お忙しい中で気分転換やご趣味はありますか。

鵜澤:趣味がないのが悩みですね。仕事に関しては、入社当初から残業しないように心がけていますし、結果として業界平均・社内平均ではかなり残業してない方だと思います。メールは返したい時に返すスタイルが私にとっては楽なので、普段は良くも悪くも公私混合ですが、ワークライフバランスは取れています。その分、17時半とかに帰りますし、夕飯はいつも家族で食べます。基本的に事務所で残業というやり方はしないので、仕事でストレスを感じることはほぼないですし、実際社内のストレスチェックで引っかかったことはありません。

食べることが大好きなので、中南米にいたときは肉とワインが安くてよく食べていました。そのノリでシンガポールに来ましたが、こっちは肉もワインも高いので、自制しつつ、やっぱり食べたいときは1週間に1回は食べていますね。太りやすいのでジョギングとかトレーニングは嫌いですが一応やっています。そんな感じですかね。

武藤:本日は貴重なお話をありがとうございました。

取材日:2024年9月16日

※インタビュー記事に記載の内容や、登場人物の所属・肩書は、インタビュー時点での情報です。

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