経営者インタビュー
経営者に聞く「日本M&Aセンター海外事業部ASEAN統括 尾島悠介氏」トップインタビュー
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ASEAN経営者インタビュー
「経営者に聞く」 インタビューシリーズ
スピーダASEANでは、ASEAN市場で挑戦している皆さまを、経済情報とコミュニティ作りを通してご支援しています。
「経営者に聞く」インタビューシリーズでは、ASEAN地域で事業展開する日系企業の代表者の方々に、ご自身の経営哲学や信念、海外事業経営の醍醐味(挑戦の難しさと面白さ)をお伺いし、ご本人と会社の魅力を読者の方々にお届けする企画です。
今回はスピーダASEAN CEOの内藤靖統とマーケティングの武藤が、日本M&Aセンター海外事業部ASEAN統括の
尾島 悠介 氏にお話を伺ってきました。
日本M&Aセンター東南アジア各拠点について
武藤:シンガポールおよび、東南アジアでの事業概要と位置付けについて教えてください。
尾島悠介氏(以下、尾島氏):日本M&Aセンターは現在、シンガポール、インドネシア、マレーシア、タイ、ベトナムの5カ国に拠点を構え、さらに韓国の同業ブティック企業への出資を通じて6カ国での展開を進めています。また、欧米を中心としたM&A案件にも対応するため、複数のブティックが加盟するアライアンスにも参画しています。現在最も注力しているのはASEAN市場であり、海外事業の従業員数は50名以上、年間取扱案件数は150件を超えるなど、順調に成長を遂げています。
シンガポール拠点は2016年に設立し、マレーシア、ベトナム、インドネシアはコロナ禍に立ち上げました。結果として、パンデミックを通じた準備期間を経て、2022年以降は順調に業績を伸ばしています。年間約20件の成約を目標とし、昨年は14件を達成しましたが、全ての案件が日系企業との成約に至るわけではなく、欧米やASEANの買い手も積極的にターゲットとしています。各国の拠点では、基本的にその国の案件を担当しつつ、案件の特性に応じて最適な国で商談を進めています。例えば、タイの企業オーナーがシンガポールに在住しているケースなどでは、タイチームと連携しながら柔軟に対応しています。
現在、東南アジア5拠点の統括責任者として全体を管理しており、昨年まではマレーシア拠点に注力していましたが、本年度からは5カ国全体の統括に移行しました。インドネシアは現在駐在事務所の形態ですが、年内の現地法人化を目標としています。各拠点の人員も順調に増加しており、シンガポールとマレーシアは10名を超え、ベトナムとタイも7〜8名体制へと拡大しています。現地のナショナルスタッフの存在が事業の成長に不可欠であるため、今後も現地での採用を積極的に進め、人材の教育・育成を強化していくことを重要な課題として取り組んでいきます。
武藤:海外と日本ではどのような案件の違いがありますか?
尾島氏:国によって外資規制や会計の制度の違いはあります。しかし、基本的に中小企業のオーナーの考え方は日本でも海外でも同じ印象です。なので、日本のノウハウもそのまま展開できますし、活かすことができます。我々は日本側にクロスボーダーのM&A専門チームや会計士、弁護士もいるので、総合的にサポートできるのが強みになります。
内藤:東南アジアで取り扱われている案件は、日系企業による買収案件が多いのでしょうか?
尾島氏:ほとんどの案件が、日系企業が現地企業を買収するケースです。現地の企業でも事業承継問題がありオーナーが売却先を探していて、日系企業がその買い手になるようなケースです。逆に日系企業による売却のお手伝いをするケースもあります。昨年、マレーシアに進出していた日系企業が、マレーシアの子会社を手放す案件があり、現地の会社に買収してもらうケースは何件かありました。