経営者インタビュー
経営者に聞く「日本M&Aセンター海外事業部ASEAN統括 尾島悠介氏」トップインタビュー
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大胆な営業スタイルで攻める前職の経験から得た大きな転機
武藤:過去のキャリアから現職に至るまでについて教えてください。
尾島氏:ユアサ商事では5年間勤務し、最初の2年間は日本、後の3年間はインドネシアに駐在しました。数多くいる同期や若手社員の中でトップクラスの営業成績を獲得するなど、順調に結果を残したことで、3年目にして最年少での海外転勤が実現しました。インドネシアでは新規開拓営業を担当し、オフィスや工場に片っ端から飛び込み営業を行うなど、積極的なアプローチで市場開拓を進めました。しかし、インドネシアでは英語が通じないことが多く、現地語を猛勉強し、実践の場で活用することで突破口を見出しました。
例えば、オフィスのセキュリティに止められた際には、とりあえず「鈴木さんはいますか?」とインドネシア語で尋ねるんです。いない場合は「では佐藤さんはいますか?」という調子で。ここまで大胆な飛び込み営業をする日本人も少ないので、実際に担当者とコンタクトを取るチャンスを作ることができ、積極的な営業スタイルで日々努力していました。
努力の成果もあり、駐在1年目で大手顧客との契約を獲得しましたが、会社の制度上、1年で帰国する必要がありました。しかし、まだ帰国したくなかったため、顧客に「私がいなくなれば商流を変えると本社に伝えてほしい」と働きかけた結果、実績を残していたお陰もあって3年間駐在を継続することができました。この経験は、海外での営業活動の成功を実感するとともに、自らのキャリアにおいても大きな転機となりました。
ただ、当時の課題として感じていたのは、日系企業が海外進出しても主な取引先が日系企業に限られるという現実でした。インドネシアのローカル企業に売り込んでも、与信やコンプライアンスの問題で契約が成立しないことも多く、非常にもどかしさを感じていました。そこで社内で「ローカルパートナーを見つけて協業するのはどうか」と提案しましたが、当時はM&Aの概念がまだ社内に浸透しておらず、実現には至りませんでした。
しかし、M&Aについて学ぶうちにその可能性に強く興味を持ち始めていた矢先、日本M&Aセンターの海外事業立ち上げポジションのオファーを受けました。海外市場の成長性を感じていたこともあり、2016年4月に迷わず転職を決意し、現在に至ります。