経営者インタビュー
経営者に聞く「日本M&Aセンター海外事業部ASEAN統括 尾島悠介氏」トップインタビュー
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人と人を繋ぐ、大切な価値観
内藤:アジアで、かつ、ファイナンスの業界で長く勤めてくれているローカルメンバーがいらっしゃるのは、うれしいですね。では、仕事の「やりがい」について教えてください。
尾島氏:この仕事をやっていて本当に良かったなと思うのが、売主のお客さんから泣くほど感謝された時ですね。これほど感謝されるような仕事ってあまりないと思うんです。やはり、彼らにとって会社は我が子のような存在なので、そうやって大切にしてきたものをしかるべき人に引き継ぐことによってここまで感謝されるのだなと実感しています。
2点目としては、様々な業界に携われることです。私はもともと商社にいたので、製造業については詳しかったのですが、この業界に入ってからIT、サイバーセキュリティ、物流や飲食、多くの業界の企業様と知り合うことができました。多種多様な業界の経営者と話ができて学べることは非常に貴重な経験です。
最後に、企業の成長性ですね。日本M&Aセンターは現在も物凄い勢いで伸びておりますし、M&Aという業界も非常に将来性がある。成長している企業や業界に身を置くことは、やりたいことを実現しやすい環境にいるということ。自分で大きな意思決定ができる、そういう経験が積めるのは非常にやりがいを感じます。
内藤:率先垂範してハードワークする日本の文化を現地スタッフにはなかなか共感してもらえない部分もあるかと思いますが、その辺のギャップはどのように対応されていますか?
尾島氏:ミッションを掲げることがとても重要かと思います。「我々がマーケットを広げる」という目標を現地のスタッフも共感してくれているからこそ、努力をしてくれているのだと思います。
私が単身でマレーシアに行った時は、家と会社がすぐ隣で早朝から深夜まで会社にいてずっと仕事をしていました。そういう努力を周りも見ているので、彼らもついてきてくれました。逆を言ってしまえば私が頑張っていないとメンバーの士気も下がってしまうので努力の見せ方は意識するようにしています。
あとは金銭報酬の魅力はかなり大きいと思います。我々のビジネスは成功報酬型で、実績を残せばインセンティブも支払われます。弊社は本社の平均年齢も33-34歳程度、東南アジアチームに至っては30歳程度とかなり若めです。そんな彼らにも「稼げる」というチャンスがある。そういう意味では金銭報酬は良いモチベーションになっていると思います。
武藤:やはり大切にされている価値観はお父様の背中を見て学んだ「人が全て」と言う考え方でしょうか。
尾島氏:そうですね。結局「人」が全てだと思います。最終的に決断を下すのは「人」ですから。お客様にとっては、どの企業を利用してもサービスの大きな違いはそれほど敢りません。しかし、「この人に頼めば最後まで責任を持ってくれる」という信頼が重要になってきます。担当者との関係性が、ビジネスの成否を左右すると考えています。
従業員に対しても同じです。いかに彼らが働きやすい環境を作れるか、いかに彼らが稼げるか、いかにやりたいことをやってもらえるか。全員私が採用した人たちなので、皆のことを家族だと思っています。
現在マレーシアオフィスはメンバーが12名いますが、月に1度必ず誕生日会をやりますし、旧正月やクリスマス、あるいは日本からの出張者が来る時など、イベントがある時はチームで食事や飲みに行ったりします。バドミントンやVRゲームなど、体を動かすイベントも開催したりしてチームビルディングを日々心がけています。
父も、小さい所帯でしたがよく社員旅行などを企画していたので、影響を受けた部分はあるかもしれません。
結局私一人でできることは限られているので、メンバーの能力を最大限発揮できるような環境作りが重要だと思いますし、周りにも「尾島に任せておけば問題ない」「尾島のチームに任せれば業績も達成してくれる」という雰囲気を常に醸し出せるようにしていきたいですね。
今はまだ東南アジアだけですが、これから基礎を固めてから欧米に進出するのが現在私自身としても、会社としてもやっていきたいところです。
日本M&Aセンターとは
内藤:最後に、日本M&Aセンターの強みや特徴について教えてください。
尾島氏:日本M&Aセンターは、「M&Aを通じて企業や社会の発展や継続に貢献する」ことをミッションとし、数億円から数十億円規模の中小企業を対象とした案件を多く取り扱っています。ASEAN市場は一括りにされがちですが、実際には各国ごとに強みを持つ産業が異なり、例えばマレーシアやベトナムでは製造業や半導体関連、シンガポールではITやヘルスケアが発展しています。我々は現地法人化し、各国に拠点を構えることで、売り手の情報を豊富に蓄積し、確かな交渉力と実績をもとに、希望価格に沿ったM&Aを実現する体制を整えています。競合他社が日本から海外市場を見る中、我々は圧倒的な現地調達の情報量と売買意思の裏付けを強みとし、クライアントのニーズに応じた最適なM&Aを提供しています。現在、日本M&Aセンターは1,000名を超える企業へと成長しましたが、海外部隊はまだ各地10名程度のスタートアップ規模であり、ベンチャースピリットを持ちながら事業を拡大しています。特に東南アジア市場のさらなる成長を目指し、私自身もメンバーと共に日々挑戦を続けています。
武藤:本日は貴重なお話をありがとうございました。
取材日:2025年1月27日
※インタビュー記事に記載の内容や、登場人物の所属・肩書は、インタビュー時点での情報です。