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経営者インタビュー

経営者に聞く 「東レインターナショナル シンガポール馬場孝一郎社長」 トップインタビュー

最近の気になるトレンドやトピックはCCUS

内藤:昨今、ChatGPTや地政学リスクなど、様々なトレンドが話題になっているかと思います。馬場社長が個人的に気になっているトレンドやトピックは何かありますでしょうか。

馬場:以前からCCUS*や人工光合成は気になっており、脱炭素関係の話題は定期的にチェックしています。個人としても気になりますが、会社としても、リサイクルやバイオケミカルなどの、サステナ関連のトピックにはアンテナを張っています。

*Carbon dioxide Capture, Utilization and Storage

経営の「現地化」へのチャレンジ

内藤:新しい市場に進出した企業が、いかに事業の現地化を図るかというのはどの企業にも共通の課題かと思います。御社ではどのような取り組みをされていますでしょうか。

馬場:組織面では、東レグループにはナショナルスタッフのマネジメント登用制度や基幹人材を育てるためのプログラムがあります。

社内制度以外にも、優秀なローカル人材の獲得・採用にも挑戦しています。先ほどのTSRC(R&D拠点)の開設時には、半導体の技術開発分野での実績を持つ優秀で日本語の堪能な社員が入社してくれました。

阿吽の呼吸に溺れず、積極的に変化を

内藤:一般に人材マネジメントにおいては、採用、育成、登用とそれぞれの場面での工夫を意識されると思います。採用後のお取り組みとしてはどのようなことに気を遣っていらっしゃいますか?

馬場:当社はローカル人材の離職率が低いと思います。しかしながら社歴が長ければ長いほど、変化を好まなくなる、という側面はあると思います。

そこで、私自身も気を付けなければいけないと思っていることがあります。東レ流のやり方やスタイルが、なんとなく阿吽の呼吸でわかる ”やりやすさ” に溺れてはいけないということです。

仕事がしやすいのは良いことではありますが、東レのスタイルに染まる・染めるのではなく、外での経験を生かしながら積極的に変化を作り出していってほしい。私自身もそういったメッセージを出し続けなければと思っています。

嫌いなことはやらない。好きなことをやる

内藤:馬場社長の経営スタイルや信念についてお聞かせください。

馬場:誤解を恐れず端的に言うと「嫌いなことはやらない。好きなことをやる」です。これは私自身が大事にしていることでもあり、社員にもそうあってほしいと思っていることです。

人間だれしも、異なる強みと弱みを持っています。無理やり苦手なことを克服しようとするよりも、得意なことに目を向けて、最大限それを生かしていこうとする。苦手なことは他の力を借りる。そういった信念を持ってやっていると、人も組織も成長していくと思っています。

さきほどの話題に出た、R&D拠点のローカル研究員についても同様のことが言えます。現地の研究員だからこそできることは何か。本人の強みを活かしてどんな研究が可能か、を意識することが大事だと思っています。

日本語もできる研究員なので、ついつい日本語でのレポーティング資料の作成なども任せたくなってしまいますが、ペーパーワークや本社との調整業務などに追われて、本来の研究開発業務に割く時間がなくなってしまっては本末転倒だと思います。彼女やTSRCならではの強みや可能性を潰さないように意識しています。

内藤:忙しい毎日を送られていると思いますが、どのように気分転換をされていますか?

馬場:インドにいた時は単身赴任だったこともあり、プレイステーションにはまって「龍が如く」シリーズをやりこんでいました。エンターテインメントのすべての要素が詰まった素晴らしいゲームです。

シンガポールに来てからは、ゴルフを楽しんでいます。最近は週1でやっています。また、今年度は商工会の活動もよい気分転換になっています。今年は商工会会頭を拝命し「強く、誇り高く、日本をアピール」を基本方針に、シンガポールから日本を元気にしていくことを目標に活動していきます。

願いが叶って再び赴任したシンガポールで、ビジネスもプライベートも充実した日々を送っています。

内藤:本日はお忙しい中、馬場様の体験談に基づく貴重なお話をありがとうございました。私も現在シンガポール商工会議所の編集委員を務めており、今後も接点があるかもしれませんので、どうぞ宜しくお願いいたします。私も本業のみならず、様々な活動を通して日系企業の皆様との関わりを広げていきたいと思います。

取材日:2022年4月6日
本記事に記載の内容や所属・肩書は、取材時点での情報になります。

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