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【セミナーレポート】東南アジア事業・再成長のロードマップ
サマリー
【全編動画公開中】7月16日開催の東南アジア事業セミナーレポート。激変する市場で日系企業が勝ち残るための「変革戦略」を徹底解説します。
〜中国勢の激変と既存資産の“再定義”で掴む新たな勝ち筋〜
かつて「高品質な日本製品を投入すれば売れる」と言われた東南アジア市場。しかし今、現地ではかつてない構造変化(ゲームルールの激変)が巻き起こっています。
本セミナーでは、ローランド・ベルガー アジアジャパンデスク統括の下村 健一 氏が登壇。
「東南アジアにおけるゲームルールの変化」「中国企業・欧州企業の戦略」「日系企業が陥りがちな罠とトランスフォーメーションのロードマップ」について、現地での支援実績をもとに解説いただきました。
※本内容は、2026年7月16日開催セミナー『東南アジア事業・再成長のロードマップ』の内容をまとめたものです。
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1. 東南アジア市場の「質的変化」とゲームルールの変容
東南アジア(ASEAN-6)のGDPは、世界全体・アジア全体における存在感を着実に高めており、経済規模のインパクトはすでに日本と同等レベルに達しています。
しかし、経済成長率(前年比)に目を向けると、かつての年15%超といった急成長から緩やかに鈍化し、近年は5%前後に落ち着きつつあります。
「市場が15%で伸びていた時代は、何も考えずに作って提供すれば売れる市場でした。しかし成長が鈍化すると『パイの取り合い』になり、さらに進むと既存のやり方のままでは限界が来ます。今、東南アジアで起きているのは、単なる競争激化ではなく『ゲームルールそのものの変化』です。」—— 下村 健一 氏
市場変化を動かしている主な要素:
- 中国・韓国・ローカル企業の急速な台頭
- EC・スーパーアプリ・プラットフォームによる流通構造の変革
- マス・低価格市場における品質の底上げ
- 国別市場から「地域横断エコシステム型競争」への移行

2. 中国企業が進める「チャイニフィケーション(中国化)」の4段階
中国企業は単なる「安売り」の戦術を行っているのではなく、東南アジア市場の仕組みそのものを「中国化」することでルールを変えています。下村氏は、この進行を以下の4つのステージに整理しました。

- Stage 1(デジタルインフラ): ShopeeやLazada、TikTok ShopなどのECやAlipay+のような決済インフラを通じて、消費者の購買・行動データを掌握。
- Stage 2(ブランド再評価): BYDをはじめとする中国EVの台頭や、iQIYI・Viuといった動画配信(OTT)プラットフォームの普及により、「安かろう悪かろう」から「先進的でクール」へとイメージを刷新。
- Stage 3 & 4(地上戦・地産地消): POP MARTやMIXUE(蜜雪氷城)などの実店舗が街中を覆い、日常の生活圏そのものへ浸透。
この結果、東南アジアの消費者にとって中国ブランドは「意識して思い出す存在」ではなく「常にそこにある存在」へと変化しており、「日本ブランドだから買われる」という前提は崩れ去りつつあります。
3. 競合(欧州企業・ローカル財閥)のダイナミックな攻め筋
中国企業だけでなく、競合他社も既存のルールにとらわれない大胆な戦略を仕掛けています。
事例①:タイCPグループ(ローカル財閥のバリューチェーン支配)
食品製造からセブン-イレブン(コンビニシェア80%超)、ハイパーマーケット、処方薬チャネルまでを一貫して自社グループで押さえ、圧倒的な資金力とチャネル力で圧倒。
事例②:ハイネケン(ベトナムでの構造改革)
ベトナム市場の伸びを見越し、数億ドル規模の巨大・最新自動化工場(ブンタウ工場)へ投資。大規模生産により「売上原価率」を大幅に下げ、浮いた利益を圧倒的な「販促費(プロモーション)」へ投じることで、国営ビールメーカーからシェアを奪い、収益構造そのものを変革しました。
4. 日系企業が陥る「個別のパッチ策」という罠
激変する東南アジア市場に対し、多くの日系企業も手をこまねいているわけではありません。しかし、その多くが「個別のパッチ策(部分最適)」に留まっていると下村氏は指摘します。
日系企業が陥りがちな「パッチ策」の罠
⚠️ 市場調査・競合分析
トレンドや競合の状況は把握できるが、「自社がどこで勝つべきか」という勝ち筋が決まらない。
🛠 業務効率化・コスト削減
今期の利益は確保できても、将来の成長エンジン(新しい勝ち筋)は生まれない。
💻 デジタル・CRM導入
高機能なツールを導入しても、現場の営業プロセスと噛み合わず形骸化してしまう。
ゲームルールそのものが変わっている中で、従来のルールの範疇で「既存業務の改善」を行っても、場当たり的な効果しか得られません。
5. 勝ち残るための「トランスフォーメーション戦略」と5つのステップ
今、日系企業に求められているのは「改善(既存事業を良くする)」ではなく、「トランスフォーメーション(事業そのものと勝ち方を変える)」です。
日系企業が抱える構造的課題
トランスフォーメーションが進まない背景には、日系企業固有の「本社と現地法人のギャップ」が存在します。
- スピードの不一致: 現場の市場変化(数週間単位) vs 本社の稟議・予算サイクル(年単位)
- KPIの不一致: 本社が求める「当期PL・確実性」 vs 変革に必要な「仮説検証スピード・中長期投資」
- 駐在サイクルの不一致: 3〜5年で交代する駐在員構造と、数年かかる変革プロセスのズレ

実現に向けた5ステップのロードマップ
日本本社と現地法人が一体となり、以下のステップで一体的な変革を進めることが必須となります。
- Strategic Repositioning(勝ち筋の再定義)
どの市場・顧客で勝つか、自社の競争優位を何に置くかを再定義。 - Business Model Transformation
モノ売りからサービス/D2C/サブスク型等へビジネスモデルを転換。 - Commercial Transformation
顧客セグメント・商品ポートフォリオ・販売網の再設計。 - Operating Model Transformation
本社・現法間の意思決定権限、KPI、評価制度の再構築。 - Transformation Engine
90日単位の仮説検証プロセスと実行体制の構築。
既存のアセットを「足枷」にするか「足掛かり」にするか
長年東南アジアで事業を展開してきた日系企業には、築き上げた信頼、既存の顧客基盤、品質という強力な資産(アセット)があります。
それらを「既存顧客や商流を守るための足枷(あしかせ)」にして変化を恐れるのか、それとも「新たなモデルへ組み替えるための足掛かり」として活用できるのか。これこそが、東南アジア事業再成長における最大の分岐点です。
🎬 セミナー動画(オンデマンド配信)のご案内
本レポートでご紹介した内容は、セミナーのほんの一部です。
実際の録画動画では、以下の内容について具体的な数値データやスライド図解、下村氏のリアルな解説をご覧いただけます。
- BYDやAlipay+が構築する「利用側エコシステム」の図解解説
- ハイネケンとベトナム競合他社の「収益構造比較グラフ(売上原価 vs 販促費)」
- 東南アジアのZ世代・若年層における「日本・中国・韓国ブランドに対する意識調査データ」
- 日本本社を動かし、現地主導でトランスフォーメーションを成功させる組織づくりのポイント
東南アジア事業の方向性に悩む経営企画・海外事業部門の皆様は、ぜひ動画本編をご視聴ください。
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